Painted Negativity 5 - 9


media/size: inkjet print on canvas, unique inkjet print on paper/ 2 x (54 x 54cm) set each


《Panted Negativity》は、手を使わずに制作される絵画 として考案された。《Panted Negativity》の特徴の一つに、 言語の基本構造のメタファーとして、2つの画面が対 になるという構造がある。その言語の構造とは、例え ば単語などの言語を構成する単位の在り方である。2 つ以上の単位の存在を考えた場合、その価値(単語で あれば意味)の決定は必ず単位相互の否定作用によっ て為される。A はB でない限りにおいてA、B はでな い限りにおいてB(A and B, A + B ⇔ A =¬B∧B =¬ A)。
《Panted Negativity》のもう一つの特徴は、先に述べた ように、絵の具の垂れや滲みなど、絵画のもつ典型的 な現象を手を使わず生成するという点である。それは 以下の私の考えからもたらされた。それは、《Panted Negativity》が言語の構造のメタファーとしてある以上、 その制作プロセスはアーティスト個人の属性と切り離 すべきである、ということである。

このシリーズでは、2011 年は抽象的な画像だけを、 2012 年からは、抽象化したポルノグラフィーを使用し ている。ポルノグラフィーの使用は、言語のメタファー としてのある絵画上に現れる現象に「エロティシズム」 を介在させることを可能にした。 そこで新しい特徴として加わったものは以下の機能で ある。
[a] 鑑賞者の焦点が、視覚的な美しさだけにある場合、 鑑賞者にそれが美しいと感じさせる機能。
[a’ ] 鑑賞者が自分が見ているものが、女性器などのポ ルノグラフィーだと感知した場合に、何を美しく、ま た醜く感じるかという峻別に関与する、彼らの「審美 的基準= 倫理的整合性」に不協和をもたらす機能。
これはまた、言語にみられる普遍的な構造である、「表 示」と「内容」の不可分理性に亀裂を入れる試みでもある。 その意味では、上記の[a]、[a’ ] の機能はついには、言 語をそのメタファーやアナロジーとしてのみならず、 言語の機能そのものを直接操作していると言える。

photos by Aisho Miura Arts

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