Optic Scissure 3 - 15


media/size: pigment on paper/ 50 x 50 cm each


《Ethical Split》シリーズのオルタナティブ・バージョン。
《Ethical Split》は2012 年以降の《Painted Negativity》シ リーズを発展させたもの。
物理的なレイヤーを持った両作品は、最下層に《Optic Scissure》と同様のフラットなペイントが設けられなが ら、《Painted Negativity》 では印刷が施されたフレーム のアクリル面が、《Ethical Split》ではレンチキュラー印刷 が用いられており、キネティックな効果を持っている。
したがってシンプルな平面作品としてある《Optic Scissure》には、《Painted Negativity》と《Ethical Split》で 経験可能な物理的な効果はない。しかしその不足よって 可能になるのは、「鑑賞者の『審美的基準= 倫理的な整合 性』に不協和をもたらすこと」、その純度を高めることで ある(キネティックな作品は物理的側面に関心が向かっ てしまう。物理的なレイヤーは言語の構造のアナロジー として考案され、この《Optic Scissure》では捨象されてい る)。静性と複雑さを同時に備えたシンプルな画面に よって為されるその不協和は、「鑑賞者の網膜が何を捉 えるか」という生理現象と、「鑑賞者が何を美しく、また 醜く感じるか」という審美的判断との相関関係からもた らされ、また作用する。
次のことを強調しておく。この作品の最終的なイメージ が色彩的に美しく、構成的に洒落ていようとも、これら 作品に使用されているのは、損壊部の肉を露出した人間 の死体写真と、性器を露出したハードコアなポルノグラ フィーである。


photos by AISHONANZUKA

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